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プレミアムフラワーの花コラム

第81回:カルミア~見かけによらないものもある

2024.5.1

 見るからに美味しそうな、可愛いらしい蕾(つぼみ)=写真左側=がつき始めました。カルミアです。子供の頃によく食べた「アポロチョコレート」=写真右側=のようです。思わず手に取って、口に入れたくなります。

蕾も花も美味しそう

 カルミアはツツジ科カルミア属の常緑低木で、原産地は北アメリカ。和名はアメリカシャクナゲです。明治時代に日本に渡来しましたが、日本の風土に合っており、育てやすい花木とされています。
 5月から6月にかけて、花径1~3㎝の白やピンクの花笠のような形=写真=の花を咲かせます。花もなかなか美味しそうに見えます。

花に裏切られた!

 花言葉は、レースの日傘を広げたような花の形から連想した「優美な女性」。多くの花が集まって、手を広げたような形で咲くことから「大きな希望」。見た目通り、好印象の言葉が続きます。
 ところが、意外な花言葉もありました。「裏切り」。英語では「Lambkill(羊殺し)」という別名もあります。理由は、カルミアの葉が運動麻痺や呼吸困難などを引き起こすグラヤノトキシンという毒を含んでいるからです。家畜が誤食して死亡することもあります。
 美味しそうに見える花が、こんな毒を持っているなんて……。まさに裏切られた思いがします。グラヤノトキシンはカルミアだけでなく、レンゲツツジ=写真左側=、アセビ=写真中央=、ネジキ=写真右側=などツツジ科の多くの草にも含まれているので注意が必要です。

宇宙船をイメージしたチョコレート

 宇宙船「アポロ11号」は1969年、人類で初めて月面に着陸。この年、明治製菓は宇宙船をイメージしたアポロチョコレートを発売しました。以来、半世紀以上にわたって子供たちに親しまれてきましたが、昨秋に販売終了。今は後継の「みんなのアポロチョコレート」が発売されています。

回収対象の紅麹は使っていません

 新商品について調べようと明治製菓のホームページを開いてみると、商品紹介よりも目立つ形で「紅麹原料」に関する「お知らせ」=写真=が載っていました。
 小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓病などを発症したことから、同製薬は紅麹関連商品の使用停止を呼びかけるとともに、自主回収を急いでいます。「お知らせ」は、明治製菓の製品は小林製薬が回収している紅麹原料を二次原料を含めて使っていないというものでした。

健康食品が健康を害した

 小林製薬が使用中止を呼びかけている機能性表示食品のサプリメント『ナイシヘルプ』=右側=には「内臓脂肪を減らす」、『紅麹コレステヘルプ』=写真左側=には「悪玉コレステロールを下げる」などと効能が大きく書かれていました。これを読めば、多くの人が「飲めば健康になれるだろう」と思うでしょうが、逆に健康を害することになってしまいました。

見た目だけでは分からないことも

 見た目は同じようなカルミアとアポロチョコレート。カルミアは美味しそうに見えながら、葉には毒を持っていました。
 一方のアポロチョコレートは、見た目通りに美味しくて、製品に問題はありませんでした。しかし、小林製薬の健康になる思われたサプリメントが健康を害していた“とばっちり”を受けて、明治製菓はわざわざ“安全宣言”をしなければならなくなりました。
 見かけによらないものは、色々とあるものです。

※参考図書
「みんなの趣味の園芸 NHK出版」
「産経新聞3月28日 小林製薬の紅麹『使用していない』風評被害を懸念し安全性を強調、日清や明治など」

※参考サイト
「花言葉辞典」
「クイックガーデン 庭サポ 可愛らしく魅力的な花カルミア」
「ツツジ科の成分グラヤノトキシンによる中毒の最近の話題」
「自然毒のリスクプロファイル 厚生労働省」
「明治製菓」
「小林製薬」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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